ドイツ語質問箱

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名詞の格付け 引用
  2009/12/31 (木) 19:12:37 - 悠平 - <メール送信> - No.1262001847
ドイツ語を習い始めて、いつも気になっている事があります。
名詞には格が付いており、どうしてこれが必用なのか全く分かりません。私は理系出身
でドイツ語は規則的という印象があり、それで興味を持って取り組み始めたところがあ
ります。私は名詞に格が付いていなければ、或いは名詞格が規則に乗っ取っていれば英
語を学ぶ人口と同等になるのではないかとも思っています。そこで質問は「新しい名詞
が出てきたとき誰がどのように格付けをしているのか」という事です。例えばRake
teがドイツで開発されたとして、その開発者や業界の人が”Rakete”と呼びそ
れが広まっていくというのは分かります。その際格付けは誰が行っているのでしょう
か。誰か決まりに乗っ取って、あるいは審査機関が決めているのでしょうか。過去のド
イツ語質問箱に名詞の格変化についていくつか見ましたが良く分かりませんでした。ま
た例えばder Computer、der Kimonoは何故derになっている
のでしょうか。

返信1 返信-1
 2009/12/31 (木) 19:19:55 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1262001847.1
悠平さん Guten Abend! Ich wünsche Ihnen frohe Silvesterfeier und einen
guten Rutsch ins glückliche, neue Jahr!

ご質問をありがとうございました。
回答が遅くなってしまいました。失礼しました。

さて、今回のご質問にある「(名詞の)格付け」というのは、文面を拝見する限り、
「(名詞の)文法上の性別の決定」ということを意図されていると解釈いたしました。そ
のつもりで回答いたします。なお、この回答中で単に「性別」とだけ書いている場合、そ
れは「文法上の性別」を意味します。

まず、なぜドイツ語には3つの性別が衰退することなく現代語にまで保持されているかと
いうことに対する理由ですが、

> 名詞には格が付いており、どうしてこれが必用なのか全く分かりません。

詳しいことはわからないのですが、少なくともいわゆる同音異義語の弁別には性別の違い
が役に立っています。Duden (1995: 207ページ) によれば、同音異義語(単語としては
まったく同じで、性別の違いだけで意味が異なる単語群)は全部で58対しかないようです
ので、それだけの同音異義語のためだけに性別が強固に保持されているのかというと、そ
れだけではないのだと思うのですが、ここでいう同音異義語というのは、たとえば次のよ
うなものです:

der Band ― die Band ― das Band 「冊・巻」―「楽団・バンド」―「テープ・帯」
der See ― die See 「湖」―「海」
die Steuer ― das Steuer 「税」―「ハンドル」

これらの語は、たしかに性別の違いでもって意味の違いが区別できます。あるいは、der
Lehrer - die Lehrer のように単数と複数形態が同じ単語群において、冠詞の違いでもっ
てその違い(単数と複数の別)を表示するという意味でも、冠詞の区別に直結する性別の
違いは重要だともいえます。

細かな分析はまだ緻密にはできていないのですが、拙論でドイツ語における性別の決定要
因について考察したものがありますので、よろしければご覧ください。
田中雅敏 (2005):「ドイツ語の名詞の性割り当て規則:ドイツ語に取り入れられ
た日本語由来の名詞の性をみる」.『欧米文化研究』第12号所収, 133-150.
http://www.x-seminar.net/pub/papier/oubei12.pdf

> そこで質問は「新しい名詞が出てきたとき誰がどのように格付けをしているの
> か」という事です。

最終的には、Duden という出版社から Duden Band 1: Die deutsche Rechtschreibung と
いう辞典が刊行されており、そこに新しい名詞(新語や外来語由来の名詞)の性別は記
述されますが、それ以前に、ドイツ語を母語とする人の(頭の)中では、新語に出会った
ときにもそれらの性別を決定する要因が(語感の一種として)獲得されていて、それらを
もとに性別を決定するということがわかってきています。もちろん個人差(Idiolekt)も
ありますが、多くの場合、同じ社会層(Soziolekt)、地域(Dialekt)内では、同一の新
語に対してほとんど例外なくすべての人が同じ性別を割り当てることを示したデータもあ
るようです。

私が知っている限りでは、上述の拙論でも紹介していますが、単音節の語は男性名詞に割
り当てられる規則が優勢のようですし、例として挙げてくださっている Rakete ですと形
態的(ここでは語尾の -e が、女性名詞の語尾変化と同じなので)に女性名詞に割り当て
られるという側面もあります。つまり、形態的(単語そのものの形)から性を決めるとい
う面、そのほかには意味的にすでにドイツ語として存在する単語との類推で、その単語と
同じ性別が割り当てられるという面もあります(たとえば、日本語の「ふすま」は、ドイ
ツ語の die Tür に類するので女性名詞であるという見方、語尾が -a なので女性名
詞・・・などと考える)。

> der Computer、der Kimonoは何故derになっている
> のでしょうか。

Computer は、compute (計算する) という動詞から、それを行う人や、それを道具として
使う場合の形態素 -er が付いたものが男性名詞に割り当てられるという規則が存在しま
す(spielen → der Spieler, rechnen → der Rechner, lehren → der Lehrer など)。
Kimono は、ドイツ語の der Anzug に類するものとして理解され、der Kimono となって
いるという考え方、そして、あるいは -o という語尾が男性名詞を示すものである(イタ
リア語などで -o は男性名詞、-a は女性名詞を構成することを参照)という考え方もあ
りえますが、分析的にはそのような考え方が可能です。

以上、確実な答えは書けないのですが、参考になれば幸いです。

返信2 返信-2
 2010/1/1 (金) 13:30:15 - 悠平 - <メール送信> - No.1262001847.2
Ich wünsche Ihnen ein glückliches neues 
Jahr!
いつも私の疑問に対し、詳細なご回答を頂き誠に有難うございます。
今回の質問はご指摘の通り「(名詞の)文法上の性別の決定」についてであり、分かり
難い不適切な題名をつけてしまい申し訳ご座いませんでした。
私は定年を迎え、学生の時興味のあったドイツ語を趣味で勉強し始めている者です。今
回の「名詞の文法上の性別の決定」は私の変なこだわりなのかなと思ったのですが、意
外と決定要因のいくつかの考察を頂き面白いなと思いました。紹介された田中先生の論
文もよく読んで、これからも名詞の性別についてチェックしていきたいと思います。

語順 引用
  2009/11/17 (火) 08:16:20 - raum - <メール送信> - No.1258386550 - 返信コールON
こんにちは。
今、接続詞の間接話法を勉強しています。

直接話法を間接話法に直していく際に、
語順が気になったので、質問させていただきます。

1) Er fragte mich,: "Hat Peter Sie um das Buch gebeten?"
彼はわたしに、「ペーターはあなたにその本を頼みましたか?」と尋ねた。

2) Er fragte mich,ob mich Peter um das Buch gebeten habe.
彼はわたしに、ペーターはわたしにその本を頼んだかと尋ねた。

2)の文は、間接話法になっていると思うのですが、
わたしは、

Er fragte mich,ob Peter mich um das Buch gebeten habe.

と解答しました。mich と Peter の語順が曖昧です。

この語順についての質問は。別の内容で以前もさせて頂いたのですが、
うまく理解できていなく、解答が間違えているのではと不安になります。

直接、接続詞に関わってくる語順の疑問ではないとは思いますが、
宜しくお願いいたします。





返信1 返信-1
 2009/11/17 (火) 07:58:24 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1258386550.1
こんにちは。ご質問ありがとうございました。

たしかに、少し前、2009年11月5日付の Nr.1257389422 のやり取りのときに、"Das Hemd
gefällt mir gut." と "Mir gefällt das Hemd gut." の例を挙げて、「ヒトを表す語の
ほうがモノを表す語よりも先に来る」という話になりました。今回は、少なくとも Peter
と Sie, Peter と mich の(並べ方の)話ですのでどちらも「ヒトを表す語」で、同レベ
ルです。同レベルだからこそ、語順のバリエーションが多少出てくるわけですね。

さて、「無生物と有生物」、「モノとヒト」のようなレベル(意味特性)の違うものを並
べるときには語順を「意味上の違い(意思を持つものか持たないものかというよう
な区別)」で説明できました。これは、【意味役割(意味的な役割)】で、【動作主】は
【被動作物】に先行する・・・といった具合です。ごく簡単に模式的に書くと

(語順の優先順位)
 動作主 > 経験者・感受者・受益者(以上:有生物) > 対象(有生・無生を問わず)

です。Mir[動作主] gefällt das Buch[対象物]. や Ich[動作主] schenke meinem
Bruder[受益者] eine CD[対象物]. のような語順は、この階層になっていると思います。
それぞれ、典型的には、動作主(=1格)、経験者・感受者・受益者(=3格)、対象
(=4格)に相当します。

そこに合わない、というか、さらに加えて考えるべき階層が、【直示(ダイクシス)】や
【定・不定】といったものです。つまり、直示表現は「その場」に関わる、つまり「文脈
に依存する」ものですので、文の最初に置いて、文脈・会話の流れに乗せます。定・不定
の区別は、定(すなわち話し手も聞き手もそれが指す内容を知っているもの)は文の最初
に追いやって、不定(聞き手にとっての新情報)をなるべく後に持ってくるのです。人間
の記憶は古くなればなるほど消えていきます。反対に新しいものは記憶・印象に残りやす
くなります。つまり不定のものほど後回しにしないといけないという理屈につながります。

そこで、今回ご指摘の文についてですが、

> 2) Er fragte mich,ob mich Peter um das Buch gebeten habe.
> Er fragte mich,ob Peter mich um das Buch gebeten habe.

mich は直示表現ですので先に来ること自体には不自然さはありません。また、mich は直
示表現であると同時に、代名詞表現でもあります。代名詞とは、文字通り、すでに話題に
のぼっている名詞(名詞句)を繰り返して言わなくて済むように「身代り」となるもので
す。ですから、代名詞とは本質的に常に「定」です。また模式的に書きますが、

代名詞表現 > 非代名詞表現
定名詞句 > 不定名詞句
既知 > 未知
直示表現 > 非直示表現

などが複合的に関係します。今回の例ですと、{mich | 代名詞・既知・直示} であ
り、{Peter | 非代名詞・既知(ただし新情報)・非直示} ですので、mich > Peter の順
序になるという説明ができるでしょう。

とはいえ、これはどちらが「より自然か」というレベルの話で、「主語(1格)が目的語
(4格)に先行する」という文法上の傾向はたしかに大きなものですから、お書きになっ
た作例("Er fragte mich,ob Peter mich um das Buch gebeten habe.")でも何ら問題は
ありません。ただ、実際にはそれだけではない、そこから逸脱するルールもあるわけです。

この話は、主文ならば「何が文頭に来やすいか」ということになりますが、文頭位置を持
たない副文(副文では接続詞が先頭に来ていて、それ以上の文頭位置はない)でも接続詞
以下の位置での配列に関わります。同じように、主文も、文頭位置だけでなく第二位にあ
る定動詞以下の配列に関わります。

返信2 返信-2
 2009/11/17 (火) 09:53:23 - raum - <メール送信> - No.1258386550.2
お返事ありがとうございます。

Er fragte mich,ob Peter mich um das Buch gebeten habe.
で、問題はないという事で安心しました。

Er fragte mich,ob mich Peter um das Buch gebeten habe.
は、これも文法的に合っている表現法の一つ、という事ですね。


丁寧に解説して頂いてありがとうございました。


返信3 返信-3
 2009/12/14 (月) 12:32:26 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1258386550.3
先の投稿から1ヶ月近くが経とうとしていますが、ひとつ訂正させてください。
(ご指摘をいただきました。ありがとうございました。)
上の回答の中で

> 【意味役割(意味的な役割)】
>  <中略>
> (語順の優先順位)
> 動作主 > 経験者・感受者・受益者 > 対象
>  <中略>
> Mir[動作主] gefällt das Buch[対象物]. や Ich[動作主] schenke meinem
> Bruder[受益者] eine CD[対象物]. のような語順は <後略>

ということを書きましたが、この中で Mir gefällt das Buch. という文において、文頭
の mir の【意味役割】は [動作主] ではなくてもちろん [経験者・感受者] です。【動
作主】は自ら行動を起こすものであって、この場合の mir は感情(「気に入る」という
感情)に関わるもので自分の意思で制御できるものではありません。ですから、心理的な
経験者であって、動作主ではありません。本当は [経験者] と書くつもりでしたが、誤っ
た記載のままにしてしまいました。お詫びして、当該箇所は次のように訂正します:

Mir[経験者] gefällt das Buch[対象物].

で、やはり 動作主 > 経験者・感受者・受益者 > 対象 の階層は保たれているこ
とをご確認ください。

返信4 返信-4
 2009/12/18 (金) 22:37:45 - raum - <メール送信> - No.1258386550.4
前の質問だったのに、ご親切にありがとうございます。

語順、確認致しました!

理解を深めてがんばります。

強変化と弱変化 引用
  2009/12/10 (木) 12:56:56 - 悠平 - <cunrb807@occn.zaq.ne.jp> - No.1260417416 - 返信コールON
ドイツ語の文法に良く強変化、弱変化と言う言葉が出てきます。例えば
(1)過去分詞
bleiben→geblieben:強変化(ge−−−en)
kaufen→gekauft:弱変化(ge−−−t)
(2)形容詞
reine Luft:強変化(冠詞類の付かない場合)
der chemische Versuch:弱変化(定冠詞のある場合)
(3)男性弱変化名詞:der Junge→den Jungen(2格以下にenを
付ける)
等です。
質問
@強とか弱とかの意味は何ですか?
A誰がどのように決めたのでしょうか?
分からなければ困ることは無いのですが、気になります。


返信1 返信-1
 2009/12/10 (木) 19:15:55 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1260417416.1
こんにちは。ご質問をありがとうございました。

@についてですが、書いてくださっているように、【強変化/弱変化】というとき、それ
は動詞、名詞、形容詞の変化に関わるもので、動詞の変化の「強/弱」とは、母音の変音
(Ablaut) を伴うものかどうかという区別、また、形容詞の変化における「強/弱」とは
それ自身が名詞の性別・格の情報を表す形態になっているかということであり、対象とな
る品詞によって「現象」そのものは少しずつ違っています。しかしながら、【強変化/弱
変化】という概念を統一的に定義するのであれば、「補助的ではなく独立した変化をする
もの」が【強変化】であって、「補助手段として生じるもの」が【弱変化】となります。
この【強変化/弱変化】という(二分法の)概念は、次のAへの回答となりますが、Jakob
Grimm という言語学者によるものです。
 → J. Grimm (1819; 1826; 1831; 1837): Deutsche Grammatik. 4 Bde.
 → J. Grimm (1880): Geschichte der deutschen Sprache.
この Jakob Grimm は、弟の Wilhelm Grimm とともに、グリム童話を編纂したことで知ら
れていますが、32巻からなるドイツ語辞典を編纂したことでも有名です。
 → J. Grimm / W. Grimm (1854ー1960): Deutsches Wörterbuch. 32 Bde.
Jakob Grimm の研究成果は、今でこそよく知られている【変母音 (Umlaut)】という語
や、【母音交替 (Ablaut)】、また今回の【強変化・弱変化】などの用語に見ることがで
きますし、また英語やドイツ語が属するゲルマン語が他の印欧祖語から分化するときに生
じた子音の変化(子音推移)を明らかにした点などに見られます(ロマンス語系の d
(duo など) → ゲルマン語の t/z (two/zwei) など。。)。

話を@に戻しますが、【強変化】というのは、「補助的ではなく独立した変化をするも
の」を指します。動詞の過去形や過去分詞が「補助的である」というのは(つまり【弱変
化】)、過去形の形態素 -te であったり、過去分詞の語尾 -t です。つまり、動詞の語
幹の母音(幹母音といいます)は変化することなくとも、形態的に -te で終わっていれ
ばそれは過去形であることが分かるので、それは【弱変化】と呼ばれます(machen ー
machte ー gemacht)。
反対に、bleiben ー blieb ー geblieben のように、語幹の母音交替 (Ablaut) でその語
形変化(ここでは不定形から過去形や過去分詞への変形)を表すものが【強変化】です。
歴史的には【強変化】の形態のほうが【弱変化】よりも古く、【弱変化】のほうが生産的
です。そのため、新語はもはや歴史的に古い【強変化】に数えいれることができないた
め、【弱変化】で対応することになっています。
他にも、動詞から名詞に派生するような場合にも、binden ー Band / Bund や gehen ー
Gang など、強変化動詞はやはり品詞の派生の際にも強変化のパターンが見られます。

形容詞の場合も、同様で、「補助手段が存在しないもの(強変化)」は無冠詞の状態で形
容詞のみが直接名詞を修飾する場合に見られます。この場合、名詞の性・格の情報を示す
ための手段を冠詞が行っていることを指し、冠詞がない環境でのみ形容詞自身が名詞の情
報を示す働きを担います。そのため、【強変化】では、ちょうど冠詞の変化語尾と同じよ
うな変化語尾を形容詞は持ちます。それに対して、冠詞があれば、「冠詞ー形容詞ー名
詞」の連携の中で、形容詞は名詞の情報を示す働きは冠詞に任せ、自分は補助的な働き
(つまり形容詞そのものの語彙的な意味を付与する)であり、【弱変化】となります。

つまり、【強変化】は、本来あるべき力(形態)を示しているものを指し、【弱変化】は
その力を失い(歴史的には新しい形態)形態の弱いものを指すといえます。名詞の「男性
弱変化名詞」の場合も、本来の力(2格・属格の語尾 -s)を発揮せず、弱形 -(e)n に
なっているものを言いますので、これをもって「本来の力が形態に100%反映されていな
い」ということになるのでしょう。

以上、参考になれば幸いです。

初めまして。 引用
  2009/11/24 (火) 13:58:50 - enu - <メール送信> - No.1259038730 - 返信コールON
ドイツ語が解らず検索していたらこちらのサイトに辿り着きました。
友人のブログに私宛で書かれた極々短い文章です。
意味を教えて下さい。宜しくお願いします。

ich lieve Sie

Ich wollte wie es sagen

最初の文の Sie は適切ではない表現のようですが、あえてその表現を使っているのだと
思います。
そこを踏まえての解釈をお願いします。

返信1 返信-1
 2009/11/24 (火) 16:17:25 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1259038730.1
こんにちは。ご質問ありがとうございました。

> ich lieve Sie
> Ich wollte wie es sagen

> 最初の文の Sie は適切ではない表現のようですが、
> あえてその表現を使っているのだと思います。

Sie が「適切ではない」というのは、普通は lieben (愛している) というのは親しい間
柄で言うセリフであって、あまり親しくない人には「愛している」とか「大好きだ」とは
言わないのではないか?という点がポイントとなっているのでしょうか。というのも、ド
イツ語には「あなた」という、いわゆる目の前の相手に対して使う呼びかけ(代名詞)に
は2つ種類があって、親しい間柄には du、それ以外の相手には Sie を使うことになって
いるからです。今回は Sie が使われていますので、一般的な理解の範囲では、普通は
「愛している」とは言わないから「適切ではない」ということでしょうか。そのうえで、
この文を書かれた方は「あえてその表現を使って」おられるのかもしれませんし、親しく
ない(この場合は、いわゆる「ため口」をきかない相手だ)からといっても敬意をこめた
意味で lieben を使うことはありえるかもしれません。

> そこを踏まえて

ということであれば、たとえば Sie をあえて使うことであまり「馴れ馴れしくしすぎな
い」という意思表示かとも理解できます。敬意を表しつつ、「大切に思っている」という
メッセージを伝えようとされているのでしょう。

いずれにせよ、最初の部分は「あなたのことを大切に思っています・大好きです・愛して
います」といった意味になります。

2つめの文については、よくわからないのですが、wie は Sie のタイプミスでしょう
か。パソコンのキーボードで「S」と「W」が隣接していますので。そのうえで、本当は
(文法的に正しい文になるためには)Sie が Ihnen という形に変化していなければなら
ないことを考えると(Sie は「あなた」、Ihnen は「あなた」という
日本語にそれぞれ相当)、"Ich wollte es Ihnen sagen." = 「私はそのことをあなたに
伝えたかった」ということが意図されているのかなという印象を持ちました。その場合、
仮にタイプミスだとしても、"w" が小文字なのが気になるところではありますし、この文
をドイツ語の母語話者の方が書かれたのでしたら、このような誤りをするわけはないので
話が違ってきます。
書かれている文をそのまま解釈しようとすると、いまひとつ本来必要な単語が足りないの
です。たとえば "wie es" の部分を文字通りに解釈しようとすると、"Ich wollte es
sagen, wie es ist." = 「そのことをありのまま口に出したかった」と理解できます。こ
の文を簡略化(あるいは口語表現としてくだけた言い方に)して、"Ich wollte wie es
sagen." と書いてあるのかもしれませんね(ちょっとくるしい?)。

こちらの文については、総合的に判断して、この文を構成している単語の意味をそれぞれ
考えてみても、wollte = 「〜したかった」、sagen = 「〜と言う」、es =
「それ」を組み合わせると、「そのことを言いたかった・伝えたかった」という意味以上
にはならない(せいぜい、そこに「ありのまま」というニュアンスが加わる)のではない
かと思います。

ドイツ語の度量衡数字の読み方 引用
  2009/11/21 (土) 11:01:13 - Opa - <メール送信> - No.1258768874
また厚かましく質問させてください。

先日(NHKラジオ講座:Baustein15で)Er ist 1,39 m gross. 彼は身長
1.39mの「1」が einen と読むということを知りました。
思うに、今迄こういう説明を(独学ゆえか)全く見聞した記憶がありません。
上例に対して例えば Das Fleisch wiegt 1 Kilo. は ein kilo か einen kilo
か自問してもすぐに答えが見つかりません。
ほかにもこんな(未知の、且つ、容易に参考書が見当たらない)度量衡数
字の読み方があるだろうことは想像に難くありません。
困った時に時折のぞく、mein-deutschbuch.de や derweg.de を見ても
キーワードすらどう入れたらよいか分かりません。(Zahlwoerter とか Laut
とか Lesart などを組み合わせてみても、うまくヒットしません)
英語などでよくある「生活に使う数字の読み方」などといった類の参考書や
公開サイトを御存じであれば教えて戴けませんでしょうか。

返信1 返信-1
 2009/11/21 (土) 17:05:23 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1258768874.1
こんにちは。ご質問ありがとうございました。

> Er ist 1,39 m gross. 彼は身長1.39m
> の「1」が einen と読むということを知りました。

名詞 Meter は男性名詞と中性名詞の揺れがありますので、ein Meter neununddreißig と
読む場合もあります。
もちろん、男性名詞だと認識する限りにおいては einen Meter neununddreißig と読みます。

> ほかにもこんな(未知の、且つ、容易に参考書が見当たらない)度量衡数字の
> 読み方

まず、そもそも、形容詞の中には名詞を補語に取るものがある点にご注意ください。たとえば

Sie ist ihrer Mutter ähnlich.
Ich bin den Unsinn satt.
Es ist nicht der Rede wert.

などにおける名詞句部分がそれぞれ形容詞 ähnlich, satt, wert にとっての補語です。
名詞句はなんらかの格を持たなければならず、これら形容詞から格をもらいます(→【形
容詞の格支配】)。挙げた例でいうと、ähnlich は【3格支配】、satt や wert は【4
格支配】となります。その関連で、名詞句部分を尋ねる場合には Wem ist sie ähnlich?
や Was bist du denn satt? のように、その部分が格表示を伴った疑問代名詞で置き換え
られます。

ですから、述語形容詞が使われている文において、名詞が1格以外の格を持つことは珍し
いことではありません。

その上で、今回ご指摘の 1,39 Meter groß における "einen Meter [...]" が4格なので
すから、groß は【4格支配】か?ということになりますが、上で書いたように疑問詞で
置き換える場合に wem/wen/was など格表示を持った疑問詞で置き換えられる場合が【形
容詞の格支配】と呼ぶべきで、groß や alt には疑問詞は wie を使いますので【格支
配】は無関係です。この場合は、jeden Tag や eines Tages など、副詞的名詞句が4格
(や2格)で用いられるのと同じ【副詞的用法】として理解すべきでしょう。副詞とは動
詞を修飾する(「ゆっくり歩く」の「ゆっくり」や、「明日行く」の「明日」など)働き
の他、形容詞を修飾する(「とても高い」の「とても」など)働きも含みます。今回の例
でいうと、"Er ist groß." で文としては成立します。そこに "groß" の度合い(実際の
数値)として 1,39 Meter が添えられているに過ぎませんので、これは副詞的に理解され
ます。"Er kommt zu spät." でも文としては成立しているところに "Er kommt jeden
Tag
zu spät." というのと同じです。つまり 1,39 Meter を "einen Meter
neununddreißig" と読むのは【副詞的4格】だからであるということになります。

> ほかにもこんな(未知の、且つ、容易に参考書が見当たらない)度量衡数字の読み方
> 英語などでよくある「生活に使う数字の読み方」

数字の使いかたといえば、「101」にまつわるものがあります。ディズニーの映画に
『101匹ワンちゃん』というのがあると思いますが、この「101匹の犬」をドイツ語で
どう読むかという問題です。この話は、『中級ドイツ語のしくみ』(白水社; 清野智昭著)
という本に書かれていますので、詳しくはそちらをご覧ください。とてもよい本です。要
点だけ書けば、ドイツ人の間でも "hunderteins Hunde" という人もいれば、"hundert
und ein Hund" という人もいる(この場合は hundert Hunde und ein Hund のうち
"Hunde" が省略されているとみる)ようです。文法的には hundertein Hund となること
になっています。-ein ときた後に複数形 Hunde があるということは認められないので、
この場合には名詞は(本来は複数形であるべきところ)単数形で用いることになっている
のです。

「数字の使い方」や「度量衡」などにまつわるテーマに特化した参考書やオンラインサイ
トの存在についてはわかりませんが、上述の『中級ドイツ語のしくみ』(前書『ドイツ語
のしくみ』というのもあります)や『ハンドブック 現代ドイツ文法の解説』(同学社) な
どには、テーマごとに具体例を挙げた解説が載っています。

返信2 返信-2
 2009/11/22 (日) 08:06:03 - Opa - <メール送信> - No.1258768874.2
御返事ありがとうございました。
正直に申しますと、これほどの大きなテーマだとは予想だにしませんでし
た。
御説明の内容を時間をかけて理解し自分のものにしたいと思います。

『中級ドイツ語の仕組み』は一度読了し二度目の途中ですが、101匹わん
ちゃんのコラムがこのテーマと関連しているとは、これも目からうろこでし
た。
『ハンドブック現代ドイツ語文法の解説』は目を通す方法をさがします。

101匹➩映画➩(Gone with the Wind の with が何故 Vom Winde
verwehrtになる?) という以前からの疑問を思い出しました。 
やるべきテーマが連鎖的に積もる一方ですが楽しみつつ学習に努めま
す。

ありがとうございました。

1. nicht の位置と 2. scheinen の動作主体 引用
  2009/11/16 (月) 08:53:00 - Opa - <メール送信> - No.1258329206
Madchen の便乗質問は無礼をお詫びいたします。回答はよく判りました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本の小さな商社経由で買ったドイツの辞書ソフトが動作不調になりドイツの製造元へ問
題提起しました。

商社に仲介を頼んだが、『あまり乗り気ではないと私には感じられた』(A)
仕方なく自分で製造元(ドイツ)へ打ったメールの一節が(後の祭り臭いけど)気になっ
ています。 今後のこともあり教えて戴きたく質問致しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(A) のつもりで „Die Firma scheint nicht daran wollen.“(B) としました。(独
文が舌足らずの点はさておき).......daran nicht wollen.(C)とすると『商社は「気乗
りがしない」と表明した』というニュアンスになりそうな気がしたので scheint nicht
としました。

1.(B)で(A)のニュアンスは果たして伝わっているでしょうか。
2.scheint のあとに mir があれば伝わったが mir がないので伝わらない
3.mir の有無とは無関係に(伝わった)または(伝わらない)
という本質的な部分が気がかりなのですが、これとは別のドイツ語的疑問
4.scheinen という動詞の動作主体は誰だろうか? 
4−1.私にそういう印象を『商社が与える』のか
4−2.商社に対してそういう印象を『私が抱く』のだろうか
この機会にキチンと知っておきたいと思いました。

何卒よろしくお願いいたします。

返信1 返信-1
 2009/11/17 (火) 06:31:13 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1258329206.1
ご質問ありがとうございました。
"Mädchen" の件は、他にも同じ疑問をお持ちの方がいるとわかり、たいへん参考になりま
した。

さて、ご質問の件ですが、

> 商社に仲介を頼んだが、『あまり乗り気ではないと私には感じられた』(A)
> „Die Firma scheint nicht daran wollen.“(B) 
> .......daran nicht wollen.(C) とすると『商社は「気乗りがしない」と
> 表明した』というニュアンスになりそうな気が

まず、"scheinen" は「〜のようにみえる」の用法の場合、zu不定詞句を使いますので、

→ (B) Die Firma scheint nicht daran zu wollen.
→ (C) Die Firma scheint daran nicht zu wollen.

のようになります。

その上で、ご質問の意図を正しく把握できているかわかりませんが、ポイントは、(B) だ
と "nicht" は主文(つまり "nicht scheinen") に入っており、(C) ですと "nicht" は
zu不定詞句 (つまり "nicht wollen") に入っているという点でしょう。そのため、ご指
摘のように (C) ですと「(その会社が)『乗り気がしていない ("nicht wollen")』よう
に私には思われる」という解釈になります。通常、この zu不定詞句の前にはコンマは打
ちませんが、便宜上主文とzu不定詞句の間にコンマを打てば、構造がわかりやすくなります:

(B') Die Firma scheint nicht, daran arbeiten zu wollen.
(C') Die Firma scheint, daran nicht arbeiten zu wollen.

これら2つの意味合いは微妙ですが、

(B/B') ですと、「その会社が本件について仲介してくれるかどうかという点について
は、そのような様子・そぶりが見てとれない」ということになり、(C/C') ですと、「そ
の会社のそぶりを見ていると、本件については仲介してくれそうにないことが見てとれ
る」ということになります。

表現を "Es scheint..." に言い換えてみると、わかりやすくなるかもしれません。

(B") Es scheint nicht, dass die Firma daran arbeiten will.
(C") Es scheint, dass die Firma daran nicht (nicht daran) arbeiten will.

(C") のほうは、「その会社が本件を敬遠していることが(はっきりととは言えないが)
感じられる」という意味になり、ご指摘のとおり、(B") のほう(「この会社が本件を処
理してくれるかどうかについて、おそらくそうではないだろうと思われる」)が今回の
ニュアンスには近いのかなと思います。

なお、

> 2.scheint のあとに mir があれば伝わったが mir がないので伝わらない
> 3.mir の有無とは無関係に(伝わった)または(伝わらない)という本質的な
> 部分が気がかり

につきましては、"mir" の有無とは無関係に伝わると思います。これも最後のご質問に関
係しますが(それぐらい、最後のご質問は本質的なものです)、"scheinen" には【動作
主】はなく、文法用語では【経験者(なにかを感じる人・感受者)】だけ登場しま
す。"mir" がそれなのですが、通常これが省略された場合は(自動的に)発話者が【経験
者・感受者】として理解されます。ですから "mir" がなくても、それは話し手・書き手
の気持ち・感覚であることが補われます。

> 4.scheinen という動詞の動作主体は誰だろうか?
> 4−1.私にそういう印象を『商社が与える』のか
> 4−2.商社に対してそういう印象を『私が抱く』のだろうか

これにつきましては、すぐ上で書きましたように「【動作主】はない」というのが答えで
す。【動作主】というのは、「自らの意図で何かを実行・行動する人」をいいます。典型
的には、意思を持った存在であるヒトや動物などを主語とする他動詞の構文がそれにあた
ります。しかし "scheinen" は「そのように思われる」ということであって、意図的に
「そのように信じよう」とするものではありません。そこには「自らの意図」がありませ
んので【動作主】はないのです。その代わりに【経験者(「経験」というのは「何かを試
しに経験・体験してみる」という意味の「経験」ではなく、「気持ちや感覚の感じ手」と
いう意味です)】が登場します。"Es scheint mir ..." の "mir" がそれです。文の主語
を es にする代わりに die Firma を文全体の主語として使えますが、この場合(つま
り、(B) や (C) における "Die Firma scheint ..." のような場合)も、"die Firma"
は、たしかに「主語(1格)」ですが、役割は【動作主】ではないわけです。動作主が1
格の形をとる(少なくとも能動文では)ことは言えても、その反対、つまり(能動文
で)1格がいつも動作主であるということは常に成り立つわけではありません。
その意味では4−2が解釈としてはもっとも合っているようですが、4−1も「商社の反
応や雰囲気がそのような印象を与える」という解釈の範囲内では正しくなります。

返信2 返信-2
 2009/11/17 (火) 08:07:13 - Opa - <メール送信> - No.1258329206.2
田中先生  御回答ありがとうございます。

『手助けしたくない』というのは商社の意思表示でなく私の推測だというこ
とは
一応伝わった、と考えておきたいと思います。
(但し、まだドイツ側から反応がないので、ソフトの立ち上げトラブルの際と
同様に長い交渉になりそうで気が重いです)

『経験者』という初めて接する文法概念に新鮮な驚きと関心を覚えていま
す。
これだから、幾つになっても外国語の世界が楽しくて仕方ありません。
遠からず厄介になりそうな老人ホームで電子辞書片手にドイツ語が運用で
きることを目標に毎日学習します。 珍妙質問するかもしれませんがお許し
ください。

Madchen の代名詞は (sie か es か) 引用
  2009/11/11 (水) 16:02:19 - Opa - <メール送信> - No.1257922939
11月10日付で質問されていたテーマについて(便乗質問です)
(例えば)獨協医大の寺門先生のコーナー<語学エッセイ32−5:システム代
表形>に「慣習的に sie で受ける」とあり文法上の性の不一致という説明があ
ります。 そういうものなのか、と思えばよいのかもしれませんが、専門家の御
説明を分かりやすいかたちで聞いてみたいと、かねがね思っておりました。
お願い申しあげます。

返信1 返信-1
 2009/11/12 (木) 10:20:53 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1257922939.1
ご質問ありがとうございました。

先にコマツ様への回答を書かせていただきましたので、そちらをご覧いただければ幸いです。

なお、ご指摘のありました

>「慣習的に sie で受ける」とあり文法上の性の不一致

は、「慣習的」=「『語の意味』による代名詞の選択」であり、文法上の代名詞の選択と
たしかにズレます。不一致になります。文法的なアプローチではこう、意味・語彙的には
こう、とそれぞれを確認できるよう回答させていただきました。

Maedcheの代名詞はsieでしょうかesでしょうか? 引用
  2009/11/10 (火) 11:10:54 - コマツヨウイチ - <メール送信> - No.1257819054
 こんにちは。はじめまして。哲学専攻ですがドイツ語も教えています。学生からの指
摘で辞書によって違う記述があるのですが、ドイツ語学のご専門の方に教えていただけ
たらと思いメールしました。Mädchenを代名詞で受ける時sieなのかesなの
か、という問題です。エクセルには「ふつうsieで受ける」とあり、プリーマになると「
sieで受けることがある」。クラウンは「文中の位置が離れていると女性の代名詞で
うけることもある」と辞書によって微妙に違います。最近目にしたドイツのサスペンス
小説ではsieを代名詞にしていましたが、小説の設定で「彼女」の意味にしないと不
自然だったのかもしれませんし、判断がつきません。一般的な現代ドイツ語にくわしい
わけでもないので、ご教示いただければありがたく存じます。

返信1 返信-1
 2009/11/11 (水) 20:36:44 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1257819054.1
こんにちは。ご質問をありがとうございました。
この質問をした学生さんは鋭いですね。

Mädchen を「『慣習的に』あるいは『ふつう』sie で受ける」というのは、意味を考慮し
てのことで、文法上の判断とは異なります。もちろん意味的には女性ですので、たとえば
"Das Mädchen ist eine gute Tänzerin. Sie [...]" のような表現はあり
ます。この場合、補語が Tänzerin であって、この名詞の中性名詞対応形はないので、お
のずと女性名詞になります。これは意味的、あるいは語彙的な理由によるものです。

他方、文法的には、das Mädchen は中性名詞ですので、人称代名詞や関係代名詞では中性
名詞でなければなりません。"Das Mädchen, das vor der Tür steht, hat
einen Tanzpreis gewonnen." のように、関係代名詞は必ず中性名詞です(Das Mädchen,
die vor der Tür steht, ... はダメ)。同様に、"Was für ein
Geburtstagsgeschenk hat das Mädchen von seinem Vater bekommen?" は
良いですが、"Was für ein
Geburtstagsgeschenk hat das Mädchen von ihrem Vater bekommen?" は
認められません(ihr = 別の女性 の意味になります)。人称代名詞のうち3人称のもの
は Anapher 【前方照応詞】ですので(人称代名詞のうち1人称と2人称は【直示表現
(Deixis)】)、性別の一致する一番近い名詞句を先行詞にとります。

> 最近目にしたドイツのサスペンス小説ではsieを代名詞にしていましたが、
> 小説の設定で「彼女」の意味にしないと不自然だったのかもしれませんし

反対にあえて es を使うことで犯人が誰かをわからないようにする手法も考えられますね
(先行詞が das Kind, das Mädchen, das Söhnlein など)。

もちろん、ご指摘のとおり、照応詞と先行詞(das Mädchen)が離れすぎている場合に
は、文法上の照応関係が成り立ちにくくなることから、意味的な支えによって sie で受
けることになります。

不定代名詞と英語のwhat to doの用法 引用
  2009/11/7 (土) 13:56:04 - Auren - No.1257569764
二つお伺いしたいと思います

一つ目は不定代名詞に対する形容詞の用法です
英語ではsomeone ...などのように後置語として形容詞を用いていましたがドイツ語では
どのようになるのでしょうか?

もう一つはwhat to doに当たる用法です。
whatにあたるwasではそのような用法が無かったですし、これはwhatが不定代名詞的に用
いられているのではないかと考えたのでetwasについても調べましたが何も出てきません
でした。
このような用法を用いる際はどのように扱えばいいのでしょうか?

返信1 返信-1
 2009/11/8 (日) 05:06:33 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1257569764.1
ご質問ありがとうございます。

> 一つ目は不定代名詞に対する形容詞の用法です
> 英語ではsomeone ...などのように後置語として形容詞を用いていましたが
> ドイツ語ではどのようになるのでしょうか?

英語の "someone new" や "something cold" のような用法ですね。
ドイツ語では "jemand Neues" や "etwas Kaltes" のように(それぞれ 'someone new'
と 'something cold' に対応)、形容詞を名詞化して、さらに属格(所有格)にして添え
ます。
なお、"etwas" ('something') の場合はうえで書いた属格表現のほうが標準的です
が、"jemand" ('someone') の場合には "ein Neuer" (男性), "eine Neue" (女性) のよ
うな方法もあります(英語に対応させるとしたら 'a new [person]')。この場合も形容
詞は名詞化されますが、ヒトを表す以上、実際の性別によって語尾変化(男性名詞,女性
名詞の形容詞の冠詞と形容詞の変化)が違います。モノの場合は常に中性名詞になります
のでこのような性別の違いを表す必要性がなく "ein Neues" とやるよりは "etwas
Neues" と表すのだと思います。

> もう一つはwhat to doに当たる用法です。
> whatにあたるwasではそのような用法が無かったですし、
> これはwhatが不定代名詞的に用いられているのではないかと考えたので
> etwasについても調べましたが何も出てきませんでした。

これは "I don't know what to do without you." のような場合の "what to do" のこと
で良いのですよね?このような場合の "what" はドイツ語文法では【疑問副詞】と呼びま
す。たしかにドイツ語の "was" には "etwas" の略としての用法があり、"Es gibt immer
[et]was zu tun." ('I always have something to do.') のような表現はあります。しか
し英語の "what" には "something" に代わるような【不定代名詞】としての用法がある
のですかね?("I always have what to do." という表現が可能?)
【疑問副詞】としてのドイツ語の "was" は、たとえば上述の英語の例文をドイツ語に直
そうとすると "Ich weiß nicht, was zu tun ist." となります(英語に対応させると、
'I don't know what is to be done.')。英語の "what to do" を逐語的にドイツ語に置
き換えた "was zu tun" だけでは不十分で、動詞(この場合 ist < sein)が必要、つま
り、この場合の "was" は主語(主格)であり、さらに動詞も必要ということから、これ
は従属節(ドイツ語文法では【副文】)としなければならないということです。was を目
的格で使おうとしても、"Ich weiß nicht, was ich ohne dich machen kann (könnte)."
となり、やはり従属節を用います。

今までこの点についてはあまり考えたことがなかったのですが(だから今回のご質問はと
てもよい刺激になりました)、ドイツ語では、疑問副詞を用いる場合は不定詞句ではなく
節(=文)を用いないといけないということであり、つまり疑問副詞は従属節を導く【従
属接続詞】と同様の働きをしていることになります。

受動態 引用
  2009/11/5 (木) 12:00:10 - raum - <メール送信> - No.1257389422 - 返信コールON
こんにちは。
今、過去形/未来形/完了形/受動態 を勉強しています。
全部がこんがらがってしまって、よく理解できていません・・・。

ここでは、自動詞の「受動態」について質問させて頂きます。


Man antwortet mir nicht.(人はわたしに答えません)
→ Mir wird nicht geantwortet.(わたしに答えてくれません)

”自動詞の場合は4格の目的語がないので、es を主語にする”と参考書にあるのですが、

この場合は、

Es wird mir nicht geantwortet. が
Mir wird es nicht geantwortet. になって

es が省略された状態で、
Mir wird nicht geantwortet. になった

と、考えてよいのでしょうか?

また、以下の文も同様でしょうか?

Auf der Autobahn fåhrt man immer schnell
→ Aud der Autobahn wird es immer schnell gefahren.
→ Aud der Autobahn wird immer schnell gefahren.


問題集をやっていて、
「次の文を受動態にかえなさい」という感じに、
まず能動文が書いてあると、受動態にかえる事はできるても、
いきなり、受動態の文が出てくると、

Mir wird nicht geantwortet.

なぜ Mir が文頭? 主語は? と混乱してしまいそうです。


宜しくお願いいたします。



返信1 返信-1
 2009/11/7 (土) 05:42:26 - 田中雅敏 - <mail@X-seminar.net> - No.1257389422.1
Guten Tag!
ご質問いつもありがとうございます。

> 自動詞の「受動態」

> Man antwortet mir nicht.(人はわたしに答えません)
> → Mir wird nicht geantwortet.(わたしに答えてくれません)
> ”自動詞の場合は4格の目的語がないので、es を主語にする”と参考書にあるのですが、

そうですね。まず、能動文の4格目的語のみが、受動文で1格主語になれる(転ずる)と
いう点はそのとおりです。
4格目的語を選択する動詞群のみが【他動詞】であって、たとえば helfen や danken な
ど(目的語をとっても)3格目的語を選択するような動詞群はドイツ語文法では【自動
詞】に含まれます。今回の antworten も自動詞のひとつですね。

さて、その次の「自動詞の場合は [受動態では]es を主語にする」という部分について
は、"Mir wird nicht geantwortet." のように主語がない受動文があることを考えると、
この書きかたは万全ではないかもしれません。

受動文の主語となる es は、天候や時刻表現などで用いる es と同様に、【非人称主語】
と呼ばれます。これは "実際に指し示す対象物がない" という意味で、【形式主語】と呼
ばれることもあります。具体的な内容物がないのだから1人称・2人称・3人称のように
【人称】が決まらない=無(非)人称だということです。とはいえ、実際には動詞(定動
詞)の人称変化が必要ですから、非人称主語は3人称の形を借りることになっています。
これは、人称が決まらないものが1人称だったり2人称だったりするのは理解に無理があ
ると思いますので、他のものはすべて3人称に扱ってもらえれば良いということです。こ
の非人称主語は、文頭の位置には現れますが、通常文頭以外では省略されます。es は"主
語" とはいっても、あくまで形式的なもので、指示対象のある主語とはステータスが違い
元々具体的な指示対象がないので、動詞の人称変化を支える以外に必要性がないからで
す。ドイツ語では、標準的には(書き言葉では)非人称主語以外の主語は省略できません
ので、主語が省略されていれば、それは論理的に【非人称主語】が隠れていると理解でき
ます。その "論理的な解釈可能性" が主語が見えなくても動詞の3人称変化を支えること
ができます。"Mir ist kalt.", "Mich friert.", "Heute ist schönes Wetter." など
は、すべて非人称主語の例ですね。

そうすると、うえで述べられている「自動詞の受動文では es を主語にする」はもう少し
書き換える必要があるかもしれません。単に "es を受動文の主語にする" というだけで
は、実際には多くの場合に es は省略されてしまうからです。では逆に、受動文でも es
が絶対に省略されない場合はないかを考えてみます。それは "es が文頭にあるとき" で
す。これまでに挙げた例文はすべて

Es wird mir nicht geantwortet.
Es ist mir kalt.
Es friert mich.
Es ist heute schönes Wetter (schönes Wetter heute).

というようになるでしょう。具体的な指示対象物がない es が "義務的に" 現れる文頭の
es は、Platzhalter (場所埋め) と呼ばれます。「文頭位置」を埋めるわけです。
平叙文では文頭にその文における主題(トピック)を明示する語が置かれます。つま
り、"当該文が何について述べられるのか" が文頭位置で示されるのです。その帰結とし
て動詞がその次の位置に来ます。いわゆる【定動詞第二位】です。動詞が"2"番目に来る
ということの積極的な理由はなく、相対的に文頭位置(1番目)の要素の次にあって、主
題提示の語(文頭の語)とそれ以降の文の残り部分の境界をなします。

 主題 | 定動詞 | 提示された主題について述べられる部分
 トピック. . . . コメント

自動詞を用いた受動文では、文法上1格主語がありませんので、どうしても文頭位置がそ
のままでは "空いてしまう" というときには、形式主語(非人称主語)の es でもって埋
める(Platzhalter)わけです。
ですから、先の記述「自動詞の受動文では es を主語にする」は、もちろんこのままでも
ほぼ事実に即してはいるのですが、「自動詞の受動文では、文頭が空いてしまう場合 es
でもって埋める」という記述でも十分であることになります。

逆に、"文頭が空かなければ" es は要らないわけで、これも事実に即しているでしょう。
文頭が空かないのは、何か別のものが文頭に来て、文の主題になっている場合です。通
常、mir や mich など、1格(主語)ではないものでも、文の主題になりやすいものがあ
ります。mir/mich で文を始めるというのは、「<私>について今からあることを述べま
すよ」という宣言になりますので、主語 ich で文を始めるのと同じ効果(機能)になり
ます。ただ違うのは1格か3格(4格)かということだけです。

このように1人称の代名詞は文の主題になりやすいでしょう。あるいは、これをヒトを指
す語が文の主題になりやすいと言っても良いかもしれません。他の動詞の例ですが
gefallen という動詞で、Das Hemd gefällt mir gut. よりも Mir gefällt das Hemd
gut. のようが好まれるのは、この理由からです。もちろん場合によりけりで、Das Hemd
gefällt mir gut, aber das T-shirt nicht. のように対比(コントラスト)を述べると
きなどは、文の主題が変わります。そうではなくて、単に「このシャツは気に入ったよ」
というような場合には、その「気に入っている」感じ手である「私」を主題に持ってくる
ほうが自然だというわけです。
同様に、heute, jetzt, hier などの【時・場所の副詞】も文の主題になりやすいです。
「今日」や「いま」、あるいは「ここ」というのは、典型的で、まさしく発話される時点
や場所を指していて、話し手と聞き手が一緒に身をおいている時間・空間を指します。つ
まり、発話の際、話題となる領域を設定するのに聞き手と話し手の共通の "場" を持ち出
すのは自然なことです。このような「共通の場」のことを【直示(ダイクシス)】と言い
ます。「その場にいなければ具体的に何を指しているのかわからない」もののことです。
旅行中の友達からの電話で、その友達がいまどの町にいるのか知らされずに「こっちは雨
だよ」と言われても、「こっち」がどこを指しているのかわかりませんね。

以上のことを踏まえると、非人称受動(自動詞の受動文)では、

(1) 文法上の1格主語は基本的に省略される(頭の中の理解として「まあ形式的には主語
があるのだろう」と解釈できる)
(2) 文頭は主語の有無とは無関係に、文にとっての主題設定となる語を置く
(3) どうしても主題位置(文頭位置)を何によっても埋められないときには es を明示的
に置く

ということになります。ただし、(3) にはもうひとつ、「主題位置(文頭位置)を何に
よっても埋めたくないときにも es で文頭位置を埋める」というバリエーション
もあります。これは "文のどの要素も主題にしたくないとき" です。文全体を【新情報】
にしたいときです。たとえば、「何か目新しいことない?」―「そういえば、今日学生寮
でダンスパーティをするってよ」というようなとき(ちょっとヘンな・強引な例です
が)、"Was gibt es Neues? - Es wird heute Abend im Studentenwohnheim getanzt."
のように(本来はダイクシスである heute を含めて)文全体を新しい情報として提示し
たい場合には、文頭に es を置きます。


> また、以下の文も同様でしょうか?
> Auf der Autobahn fåhrt man immer schnell
> → Aud der Autobahn wird es immer schnell gefahren.
> → Aud der Autobahn wird immer schnell gefahren.

1番目の受動文は必ずしも必要ではないかもしれませんが(能動文からいきなり "Auf
der Autobahn wird immer schnell gefahren." という文になっても良い)、考え方は同
じです。ここでは「今から述べる文は、ドイツのアウトバーンにおける様子についてのも
のです」といったような主題設定(auf der Autobahn)が文頭に置かれますので、
Platzhalter の es は不要です。また、無理に es を主語として提示する必要もありませ
んので、es は省略したままで大丈夫です。

返信2 返信-2
 2009/11/7 (土) 08:49:26 - raum - <メール送信> - No.1257389422.2
ご丁寧なお返事、本当にありがとうございます。


> gefallen という動詞で、Das Hemd gefällt mir gut. よりも Mir gefällt das Hemd
gut.

すごくわかりやすい例でした。

> 通常、mir や mich など、1格(主語)ではないものでも、文の主題になりやすいもの
があります。

わたしが、理解できなかった点は受動態の文に限った事ではないようですね。


ありがとうございます、理解していけそうです!

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